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高森明勅
2024.6.20 14:34皇統問題

皇族でも国民でもない「準皇族」は憲法が禁止する貴族

時事通信が以下のニュースを報じた(6月19日)。

「国民民主党の玉木雄一郎代表は19日、
衆参両院議長と参院議長公邸で面会し、
皇位の安定継承に関する意見聴取を受けた。

女性皇族が結婚後も皇室に残る場合、
夫や子どもに『準皇族』という新たな身分を
設ける案を示した」

この記事に「皇位の安定継承」とあるのは、
実態として正確には「皇族数の確保」だろう。

それはともかく、憲法には以下の規定がある(第14条)。

「1 すべて国民は、法の下に平等であつて、
人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、
政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3(略)」

国民民主党が提案する“準皇族”という新たな身分は、
女性皇族との婚姻関係や親子関係を根拠として、
憲法自体が国民平等の別枠と位置付ける
「皇族」では“ない”にも拘らず、一般国民とは区別して
特別な扱いを受けるのであれば、憲法が名指しで
禁止している「貴族」(第2項)に該当するか、
又は「社会的身分」による差別(第1項)を持ち込む制度になる。

いずれにしても憲法違反であることを免れないだろう。

恐らく、有識者会議報告書にある
内親王·女王の配偶者やお子様を一般国民とするプランは
さすがに無茶、と感じたのだろう。
そこまでは良かったのだが、憲法違反の方向に
迷走してしまってはどうしようもない。
残念。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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